入管難民法の改正で、日本で働く外国人がどっと増えることになります。政府は、2018年から5年間で最大34万5150人に上ると予想しています。この日本へやってくる外国人たちと、受け入れる日本人とは、どうやってコミュニケーションをとるのでしょうか。英語?彼らの母国語?どちらもまったく現実的ではありません。
そこで今注目され始めているのが「やさしい日本語」です。
アメリカ国務省の「外国語習得難易度ランキング」というデータがあり、一番難しいとされているのが日本語です。漢字に音読みと訓読みがある、必修語彙数が多すぎる、主語が略される場合が多い、オノマトペが多い、方言が多い、など理由はいくらでもあります。そんな世界一難解な日本語を、平易な表現や文の構造、ふりがなを用いて、日本語が苦手な外国人にも理解し易くしたのが「やさしい日本語」。阪神・淡路大震災の際に、日本語の難しさに困った外国人被災者が多くいた教訓から生まれました。
例えば、
- 難しい敬語は使わず、短く「~です」「~ます」と言い切る。
- 召し上がりますか?→食べますか?
- 漢字の言葉ではなく、できるだけ大和言葉を使う。
- 休暇中です→仕事を休んでいます
- 組み合わせた動詞をできるだけ使わない。
- 探し尽くしました→全部探しました
- カタカナ英語や略語をなるべく避ける
- OLです→仕事をしている女性です
など、はっきり、最後まで、短く言い換えます。
外国語習得するというとても高いハードルを、笑いの力で低くしようと活動していて、実際に成果もあげています。
桂かい枝プロフィール
1994年 五代目(先代)桂文枝に入門。
文化庁芸術祭新人賞、なにわ芸術祭最優秀新人賞・大阪市長賞・大阪府知事賞、NHK新人演芸大賞など受賞多数。現在、文化庁文化交流使、大阪樟蔭女子大学客員教授。
古典落語のみならず、新作落語でも高い評価を得る一方で「落語は世界に通用するエンターテイメントである」という自論を証明すべく、1997年より始めた英語落語の活動ではその第一人者と称される。これまでに世界25カ国108都市で300回を越える公演(2016年4月現在)を成功させる。
昨年はサンフランシスコと大阪の姉妹都市60周年のイベントとして、サンフランシスコとラスベガスで英語寄席を開催。今年1月にはブータン王国で初となる落語公演を行い、ブータンの国営放送で全土に生放送される。
キャロライン ケネディ前駐日大使や高円宮妃久子様、ブルネイ国王子と言った国内外のVIPの御前でも公演を行い、賞賛のお言葉を頂戴したこともある。
「桂かい枝のレッツ英語落語!(教育出版)」、「英語DE落語 動物園(すずき出版)」、「桂かい枝の英語落語CDブック(DHC出版)」、「桂かい枝の英語落語絵本シリーズ全3巻(汐文社)」、翻訳絵本「牛はどこでもモー!」(鈴木出版)、写真集「NYが笑った日(スタジオセブン出版)」など、著書も多数。
また、中学校の英語教科書「NEW HORIZON」「ONE WORLD」、高校英語教科書「ELEMENT ENGLISH COMMUNICATION 1」にもその活動と英語落語が掲載されている。
今年は英語落語の海外公演を始めて20周年の記念の年で、6月にはニューヨーク、12月にはアフリカ公演も予定している。
さらに、最近は『やさしい日本語落語』の普及にも力を入れ、日本人のコミュニケーション力の向上を目指し、笑いの力で日本人と日本に来る外国人との架け橋になりたいと活動している。